花まつり(灌仏会)は各宗派で行われている仏教の伝統行事ですが、真正仏舎利尊(お釈迦さまのご聖骨)を本尊とし、お釈迦の教法を知ることのできる唯一の経典、『阿含経』を依経とする阿含宗にとって、誠にふさわしい仏教行事だと言えるでしょう。
阿含宗の「花まつり(灌仏会)」とは
そもそも「花まつり(灌仏会)」とは、どういうものでしょうか?
仏教は伝播したルートによって、北伝仏教・南伝仏教・東伝仏教に分けられますが、インド西域、現在の中国(仏教学の術語ではシナと表現)、朝鮮半島を経由して、日本に経由した仏教を北伝仏教と言います。
この北伝仏教の伝承に基づいて、日本では4月8日をお釈迦さまの誕生日としていますが、この日にお釈迦さまの誕生時をかたどった誕生仏を花御堂(はなみどう)に祀り、そこに甘茶をかけます。これはお釈迦さまの誕生時に、龍が天から清浄な水を灌(そそ)いだという伝承にちなんだものです。
そこで、これを「灌仏会」というわけです。また、4月8日頃は関東以西において、桜の花の満開の時期とだいたい重なったことから、「花まつり」と呼ばれるようになりました。
生けるお釈迦さまそのものと称される真正仏舎利尊を本尊とし、お釈迦さまの魂そのものである、お釈迦さまの教法、特に成仏法が説かれた『阿含経』を奉じる阿含宗では、全国各道場で盛大にお釈迦さまの生誕を祝い、仏法の興隆による人々の救済を祈っているわけです。これが阿含宗の「花まつり(灌仏会)」です。
「花まつり(灌仏会)」の参加条件
「花まつり(灌仏会)」には、どなたさまでも参加することができます。
真の仏法をもって世を照らし始めた、お釈迦さまの生誕を祝いたいという方、また、本当の仏法に巡り会いたいと願っておられる方は、どうぞご参拝ください。
また、「花まつり(灌仏会)」は非常に華やかな法会ですから、心も晴れやかになることでしょう。
ただし、厳粛な法要であることは間違いありませんから、法要中には携帯・スマートホンなどの電源を切るなど、マナーを守ることは必要になります。
開催の日時について
「花まつり(灌仏会)」は前述のように、本来は4月8日に開催されるものですが、阿含宗ではその日を含め、前後の休日に行われることが多く、また全国の阿含宗道場は一律に同じに行うわけではないため、必ず事前に最寄りの阿含宗道場へお問い合わせになるとよいでしょう。
「花まつり(灌仏会)」への参加
日本は仏教国とは言いながら、キリスト教におけるイエスの聖誕祭(クリスマス)は誰もが知っていても、仏教開祖のお釈迦さまの誕生日である「花まつり(灌仏会)」はいつなのかもほとんど知らない、というのが現状です。
仏教というものは、日本のさまざまな思想・習慣・言葉・諺の中に根付いています。日本人のアイデンティティの根幹をなすものの一つです。その仏教を開かれた、お釈迦さまの誕生日を祝う法会ですから、日本人ならば一度は参加してみるべきと言えるでしょう。
そうすれば、今も多くの人がお釈迦さまの教法を糧として日々を送り、信仰・修行を行っていることが、よく分かると思います。
まとめ
「花まつり(灌仏会)」は阿含宗にとって重要な行事であり、また全仏教にとっても大切な行事です。日本人のアイデンティティの根幹をなす仏教において、連綿と伝えられてきた行事ですから、参拝することによってなにかしらのものが得られるのではないでしょうか。